王様とうさぎさん

 


 すぐに出てきた蕎麦は允が言った通り、美味しかった。

「日曜日、本店に行く気になったか」
と允は訊いてくる。

「なんで日曜なんですか」
 
 ああ、後少ししかない、と蕎麦を惜しみながら、かつ、時計を見ながら、莉王は訊いた。

「その日が期限だからだ」

「なんのですか?」

「その日までに誰か相手を決めてくれば、見合いしなくていいと総代さんに言われた」

「……そんなに総代さんに頭が上がらない感じなんですか?」

「と言うより、俺が個人的に上がらない」

 子どもの頃から世話になっているから、と允は言った。

「高い木に登って遊んでいたら、サスペンダーが引っかかって宙吊りになって。

 三十分後、その総代さんに助けてもらった」

「それは上がらないですね……」