王様とうさぎさん

「なんで、允さんと結婚する運びになったの？」
と問われ、いや、運びにはなっていない、と思いながら、

「……私に霊感があるからとか本人は言ってましたけど」
と言うと、椿は顔を曇らせる。

「そう。
　なるほどね」

　なるほど？

　椿は藍色の暖簾を潜って、允が戻ってくるのを見、肩を叩いて言った。

「じゃあ、允さんをよろしく」

　いやあのっ、断ってるんですけど、私っ。

　さっき、卯崎さんもそう言ってましたよね!?
と思ったのだが、允と似たり寄ったりの性格なのか、この人も人の話を聞いてはいなかった。