王様とうさぎさん

「本店のチラシはない。

 客が増えたら面倒だからと、作っていない」

「な、何故、私の考えてることがわかったんですかっ。

 霊感がないなんて嘘でしょうっ」
とわめいたが、

「お前は霊感があるようだが、人の考えがわかるのか」

 そう言われて、ぐっと詰まる。

 允は重そうな格子の戸をガラガラと開けながら、

「興味深そうに店を眺めたあと、俺の顔を見たから、そんなこと考えてんじゃないかと思って言ってみただけだ」
と言う。

 それだけ推理できるのに、女心には疎いみたいですねーっ、と思ったのだが、睨まれても厭なので、莉王は口にはしなかった。