どこかで、ピアノの音色を聴いたり。

雅人くんと後ろ姿が似ている人を見つけたり。

東京タワーやスカイツリーを見たり。

そんなささいなきっかけで、雅人くんの広い胸や、唇の感触を思い出す。



「おまえだよ」


もう二度と聞けない、雅人くんの声。

もう二度とふれられない、雅人くんの手。


ごめんね、芳樹くん。

雅人くんを忘れるまで、まだまだ時間がかかるみたい。