メガネ殿とお嫁さま

ただ、
この学校には、
それがあるのかもしれない。

「本当にこれ歩いたらダメなんですかね。」

イヤフォンを外し、
僕は山下さんに話かけた。

「勘弁してください。
天下の日野原家ですよ。」

山下さんは笑いながら言った。

この学校の一日は、
ロータリーの渋滞から始まる。

日本の経済界の中心であり
トップに君臨する
企業、グループの
御曹司、ご令嬢が通う
セレブ学院こと
鳳凰学院高校。

僕は、この学院が
すごく苦手なのだ。