「はっきり、言うけど、
僕は君と結婚したくない。」

僕は、そういうしかなかった。

布団から起き上がり、
冷たい目で言った。

部屋には、彼女の嫁入り道具が
びっちり埋め込まれていた。

箪笥が2つに、鏡台と葛籠。

溜息をつく。


「あの…私、
直しますから。
悪いところがあったら、
直しますから。」

彼女は、懇願する姿が
申し訳なくて仕方が無い。

僕は、
誰かが着替えさせてくれたのか、
浴衣を整え、
立ち上がった。

渾身の冷たさを纏い、
彼女を見下ろして、言った。


「約束だから、
1ヶ月は我慢します。

けれど、何があっても
君とだけは、結婚しない。」