「お身体の具合いかがですか。」
放心している僕に
彼女は、そう声をかけた。
ほ。
文金高島田は解除されている。
着物だけど、
普段着だ。
髪も後ろで
女の子らしく結わえているだけだ。
「そこまでお嫌だったとも分からず、
申し訳ございませんでした。」
彼女は、
震える声を出して、
頭を下げた。
あんなに可愛い姿を
僕のためにさせてしまったうえ、
「きれいだね。」の一言も
言ってやれない。
こちらこそ、
君にどう謝ったらいいか
言葉が見つからない。
僕は、
天井をただ見つめていた。
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