とりあえず、
嫁入り道具?
は何故か僕の離れへと
運ばれ、

必死に止めようも
決壊したダムの水が流れるように
勢い良く押し込まれて行った。

その間に、
彼女は家に招き入れられ、
仏間へと通された。

こっちを止めると
あっちが進み、
あっちを止めに行くと
こっちが進む。

結局、あっという間に
彼女は、この日野原家に
嫁入りしてしまった。

「…さ、最悪だ。」

「はい。たっちゃんもこれを着て。」

昨日着たばかりの
紋付袴を
カヨさんに渡され、
僕はその場に座り込んだのだった。