「だからね。
僕が言いたいのは、
日野原家の嫡男だというだけで、
何も努力せず、
財閥のトップに立つなんて
時代錯誤もいいところだってことなんだ。
日本の大企業のトップが
全員元華族なわけないだろ?
みんながそんなことしてたら、
この日本経済は、
すぐに破綻してただろう。
それどころか、
長い歴史の中で、
落ちぶれた華族は五万といて、
だからって彼らが情けない人間か?
違うね。普通のサラリーマンとして
自分の能力値を生かしてる人が
ほとんどだよ。
自分の家が旧華族だなんて
知りもしない人だっている。
それを、お家存続だ、
武家だ、華族だって
頭おかしいよ。
社員たちは、
そんなの守るために
働いていたわけじゃない。
僕らはもうお殿さまでも
なんでもないんだから。
高度成長期を支え、
ひたすら働いて、
この日本経済を形成したのは、
大企業のお座りトップじゃない。
サラリーマン一人一人だ!!」
僕は、
一息にそれらを述べた。
…。
…。
…。
しまった。
彼女が放心して、
僕をみている。
つい、熱中して
喋ってしまった。

