メガネ殿とお嫁さま

…。



あのお祖父様が
俺に頭を下げている。

年がら年中、
地獄の赤鬼みたいに、
叫びまくっている人が。


…。


…。




俺は深呼吸をした。

「これ、お見合いですよね。

あれ、やってください。」

僕は仕方なく言った。
埒が明かないからだ。


「は?」

お祖父様は頭を上げた。

「あとは、お若い…。」

そこまで僕が言うと、
桜子さんのお母さまが、
気づいて、言葉を放った。

「ほら、皆さん、
あとはお若い2人にお任せいたしましょう。」

「…そ、そうだな。

日野原さん、
お庭を見せていただくお約束でしたな。」

桜子さんのお父さんが、
立ち上がって
お祖父様の肩に手を添え、
起き上がらせた。

「…ほうか。


…。


そうじゃな。そうじゃ。」

お祖父様は、
桜子さんのお父さまに
支えられ、立ち上がった。

弱々しい老人のフリをして、
部屋を出て行くのを
黙って見送った。