しばらくそうしていたが、
向こうが折れて、
家にあげてくれた。
座敷に座ると、
「ご用件は。」
と聞かれた。
「夜分に申し訳ございません。
桜子さんを僕に下さい。」
そう頭を下げた。
驚いた様子も見せない。
桜子さんのお父様は、
腕を組んで、話した。
「桜子は一人娘です。
婿に入る決断でもなされたか。」
僕は、頭を上げた。
「いいえ。
僕は、日野原家と綾小路家を
どちらも選びません。
ただ彼女が欲しい。
桜子さんと駆け落ちをしにきました。」
そうまっすぐ相手を見て言った。
つまり、僕は、
綾小路家に桜子さんを
もらいにやってきたのだ。

