「何?これ。」

僕はカヨさんに聞いた。



「少し綻びてましたから、
直しておきました。

最近おうちで着物をきられてますし、
正式な場においでることも
多いでしょう。

すぐに着られるよう
カヨが保管するよりも、
坊ちゃんに渡しておきます。」

とカヨさんは言って、
紋付袴と着物が包まれた
たとう紙を渡してきた。


「そうですね。ありがとう。」

僕は、ありがたく受け取った。



「坊ちゃん、
お嫁さんをもらいに行く時は、
きちんとした格好をするんですよ。

前髪も整えて、しっかり前を向くんです。」

カヨさんは、
なぜかそんなことを言って、
その場を後にした。