「言ったろ?
政略結婚なんかじゃなかったんじゃ。
最初から、今の相手さんとの結婚が
決まりかけていたんじゃ。
それを桜子ちゃんが
最後にお前に会いたいと言い出したんしゃ。」
「そうでしたか。」
僕は、お祖父様の話を聞いて、
もちろん驚いた。
けれど、それを先に聞いてたって
結果は分からない。
「子どもの頃に、何回か、
お前を自然や豊かな暮らしに
触れさせようと思い、お邪魔したんじゃ。
それから、桜子ちゃんは、
お前を忘れることがなかった。
お前の写真をせがまれて送ったこともある。」
「なんとなく、実は綾小路家を思い出してたんです。」
そうか。
僕は本当に何も知らなかったな。
「最初から、
お前と結ばれることはないと
分かってて来てたんじゃな。
もちろん、わしは本気じゃった。
あと二週間もあったのに。」
お祖父様は、目に涙を溜めた。

