メガネ殿とお嫁さま

座敷の前に立っても、
物音ひとつ聞こえない。

本当にここでいいの?

「理太さまが
お出でになりたした。」

カヨさんが、
僕の代わりに声をかけた。

「入れ。」

祖父の声が聞こえる。

僕は、
言われたとおり、
開く襖の前に正座をし、
頭を下げた。


「失礼いたします。
日野原 理太でございます。」

僕はそう挨拶をし、
頭を上げた。