メガネ殿とお嫁さま

どうせ、祖父の客だ。
焦ることはない。

僕は特に急ぐわけでもなく、
ゆっくり着替えて、
離れを出た。

カヨさんが、
今か今かと待っていた様子で、
再び、離れの方へとやってきた。

ん?
さっきは、気づかなかったが、
今日は、いつもよりお手伝いさんが
多いな。

いつもは、
掃除の業者さんと
食事、洗濯をしてくれるカヨさんしかいない。

祖父の部屋とは反対側の大座敷へ
着物を来た女の人が
次々に料理を運んで行く。

「たっちゃん!
何やってんの!早くしてください!
大旦那さまがご立腹ですよ!」

カヨさんは、
興奮すると、
昔の名残で、僕のことを
たっちゃんと呼ぶ。