僕は、膝をがくがく震わせた。


黙って立っていると、
どんどん人が集まってきて、
僕らを写真に撮り出した。


いよいよ足が動かない。



「あの…携帯電話を
お貸しいただけますか?」

急に彼女が言い出した。


僕は、
言われた通りに
スマホを取り出して、
彼女に渡した。


「どうすれば、みなさまのように
写真が撮れるのでしょう。」

彼女は眉間にしわを寄せた。

周りの
写真音がどんどん増えていく。


僕は、訳も分からず、
横から画面に指を出し、
カメラを起動した。

「ここ、押すと撮れる。」


そう言うと、彼女は、

「ありがとうございます。」

とまっすぐ目の前にカメラを出した。