メガネ殿とお嫁さま

離れに戻ると、
お手伝いのカヨさんが、
ちょうど着替えを持ってきてくれた
ところだった。

「はぁ、なんで、紋付袴?」

腐っても、
もと伯爵は旧華族の家ですよ!
と言わんばかりの紋がついている。

何が家柄なんだよ、な。
ただの金儲け一家のくせに。

今日は、5月12日。
誕生日以外に何かあったっけ?

「手伝いましょうか?」
カヨさんは急いでいる様子で、
着付けを申し出た。

「いや、まさか、
何歳だと思ってんの。」

僕は、当然断った。

袴くらい自分で着れるし。

とりあえず、
シャワーを浴びて、
着物に袖を通した。