メガネ殿とお嫁さま


シュウくんが、
僕をまっすぐ見た。

「お前に、
俺みたいになって欲しくない。」

その言葉は、
まるで、
自分で自分を傷つけるような言葉だった。

「好きな女が狂っていくのを
そばで見続ける辛さを
味あわせたくない。

好きなんて感情、
なかったらどんなに楽か。」

シュウくんの
悲痛な表情に頭が痛くなる。

桜子さんも僕も
何の感情も動くことがなかったら、
きっとうまくいくと思う。

昨日、
泣き崩れる彼女を見て、
心が大きく動いた。

あんなんじゃお互い駄目になる。

この先、あんな状況は、
何回だってある。

あのお慕いしていますが、
どこまでのものかわからないが、
他の女の人と
一緒にいることだけで
苦痛に思うなんて
何回泣けばいいかわからない。

何日も家に帰らない夫、
くだらない金持ち夫人との付き合い、
縛り付けられるような生活、
跡取り問題に、
小姑、親戚、行事、儀式、しきたり…

これで金がもらえると
ビジネスと捉えるなら、
確かに割には合わないが、
まだ分かる。

しかし、
その上、愛だと言い出すと、
僕は、どれも彼女にして欲しくないし、
どれも悩んで欲しくない。
近くで見ているのも嫌だし、
泣かれたくない。

ただ、笑っていて欲しいって
思うんだ。