あれから、
要くんは、
僕を力の限り抱きしめ、
号泣はなかなか収まらなかった。

沙羅ちゃんがなんとか、
要くんを諌め、
泣き止むまで、
頭を撫で続けた。

そして、
泣き疲れて眠った要くんを
見て、
みんなの疲れもどっと出た。

それから、
しばらくして、
要くんは、起きてくるなり、
腫れた目をしつつ、
黙って、また僕と桜子さんの間に
座った。

しかも、家にまで着いてきて、
先ほどやっと、
沙羅ちゃんが無理やり連れて帰ったのだ。


僕は、隣にいる桜子さんを見た。

そっか。
布は、
縁側には張らなかったんだ。

張らなくてよかったな。

縁側とサンルームは、
共有スペースになった。


「久々に顔見たな。」

僕が彼女に言うと、
彼女は、ふっと笑った。


「協力な恋のライバル出現ですね。」

と加えて言った。



僕は、やっぱり
頭をかいた。