校舎の前を通り過ぎ、
中庭を抜けて、
僕らは、
更に奥の庭へと進む。
腰の高さのフェンスを
先に僕は越した。
彼女は、大きな風呂敷包みを持っていたので、
僕は、それと鞄を先に受け取った。
なんだ、この重いの。
「大丈夫?」
僕は、
彼女を抱えて補助しながら言った。
「武家の女子ですから。」
と笑顔で答えて、
フェンスを乗り越えた。
足元が悪いので、
仕方なく、手を差し出した。
柔らかく細い手が、
僕の手を握り返した。
足元は、
だんだん良くなり、
見覚えのあるテラスが見えてきた。
「2年間、耐えるしかなかったのに、
君は一瞬で変えてしまうんだね。」
僕は、手を離さなかった。
「理太さまが、そうなさっただけです。」
と彼女も手を離さなかった。
テラスについても、
2人でしばらく微笑みあった。

