「…。
あ、ここにいたんだ。」
僕は、気にしてないふりをして
言った。
「朝食づくりのお手伝いを。
理太さまは、朝食に麦餅を召し上がると
聞きましたので、
作っていました。」
むぎ…もち?
あぁ、パンのことか。
彼女は、
オーブンの火を見るために
しゃがんでいたようだ。
それにしても、
なんて嬉しそうに家事をするんだ。
「カヨが起きる前には、
もうお掃除を始めていたんですよ。
本によく出来たお嬢様です。」
カヨさんは、
彼女の肩を持った。
「だめじゃないか。
足だって怪我してるのに。」
僕は、思わず、
素直に言ってしまった。
「すみません。
でも、させてください。」
と頭を下げた。
やっぱり、
さっきの笑顔が可愛くて
たまらなかったから、
「…。
無理はしないで。」
と言ってしまった。

