それから、
山下さんに迎えを頼み、
ついでに着替えを用意してもらうよう
お願いした。

お休みのところ、
本当に申し訳ない。

何故か、
スキップして現れた山下さん。

リビングのソファで
待ってもらい、
僕は、寝室に服を持って行った。

「桜子さん、これね。
うん、いいよ。姉さんのだから。」

カヨさんは、
姉さんのワンピースを
用意してくれたみたいだった。


そして、
僕は寝室を後にして、
山下さんが持ってきてくれた
服に着替えた。


「本当にすみません。
お休み中にこんな私的な用事で
お騒がせしてしまって。」

僕は、靴下と靴を履いた。

ようやく外に出られる。
と眼鏡を正した。

「いえいえ、
このようなめでたい日に
呼んでいただき、山下、感激の至りです。」

そう言って、
山下さんは、目頭を抑えた。


「は?何?何がめでたいの。」

ただの家出騒動でしょ。
まぁ、彼女がここにいるのは、
誤算だけど。


「え。
お嬢さまを男らしく、
ホテルへと連れ込み、
床入りの儀式を
立派に努められたのでしょう?」

山下さんは、
はぁっと感嘆の声をあげた。

「と…とこいり?」

僕は、聞き直した。


「はい。初夜のことでございます。」

山下さんは、
それはそれは
清々しい表情で言ったのだった。