教室の窓から、暖かい日差しが降り注ぐ。
私、林崎美夜は部活の朝練が終わり、教室で居眠りの準備をする。
理由なんて簡単。
寝たい時に寝る、それが私のモットーだからだ!
と言う訳で、重たいまぶたを閉じ、居眠りを始めよう…と思った。

「相変わらずだね、美夜は」


クスクス笑う彼、矢坂結羽は私の幼馴染み。

小さい頃からテニスで色んな賞を取るくらいの"天才"だ。

しかも、頭脳明晰で容姿端麗。
スポーツ万能と、誰もが憧れる"模範少年"なのだ。
それに引き換え私はと言うと…
成績普通、容姿も普通、運動能力も平均。
誰もが私と会ったら、ビックリするほどの普通(凡人)の極みなのだ。ハハハハハ

「で…何の用だよ、結羽」

「フフっ、実はね…じゃーん!テニス大会個人の部優勝!
頑張ったでしょ?僕」

いつもは冷静沈着な結羽は、私の前だけ無邪気に笑う。
好青年な結羽は、やっぱり女子にはモテモテ。
だから、この無邪気さは私だけが知っている二人だけの"秘密"みたいで嬉しい。

「キャァァァァァ!!」

そんな中、今の雰囲気を破壊できるほどの廊下に響く女子の黄色い悲鳴。
その原因は…

「あー…ごめん、通れないからちょっとどいてくれるかい?」

こいつ、与永海月。
綺麗な黒髪がサラサラと揺れる。
バスケ部のエースで、結羽に負けないくらいイケメン。
そして…

「あ、おはよ!林崎さん」

私の隣の席の人。