「あははっ。ダボダボじゃーん!」
そして体育の時間。
中島くんに借りた体操服を着てみると予想通り大きかった。
上の体操服は太ももの下まで丈があるし、ズボンは膝なんて余裕で隠れちゃう。
紐で強く結ばないとズボンがずり落ちてしまう。
そんな私を見て陽菜ちゃんは笑う。
「バレないかな…」
明らかにサイズが私にあってない。
借りたってバレませんように。
更衣を終えて教室を出ると、中島くんとばったり遭遇した。
隣には同じクラスで中島くんの友達の、高橋紘樹(たかはし ひろき)くん。
「中島くん、体操服ありがと」
お礼はしなくちゃ。
危うく森本先生に怒られるところだったもん。
「どう?体操服似合ってるでしょ〜?」
私の両肩に手を置いて陽菜ちゃんはそう言った。
いや、体操服に似合うも何もないから!
「………似合いすぎ」
少し間をあけて中島くんがボソッと呟く。
すぐに目をそらして高橋くんと行っちゃったけど。
そんな中島くんは、下は体操ズボンだけど上は部活着だった。
最悪、それを着ていれば怒られることはないもんね。
それにしても、体操服に似合うとかないと思うんだけどなあ。
ボーッとしてると、行くよ!って陽菜ちゃんに腕を引っ張られてグラウンドへと向かった。
中島くんのおかげで、森本先生に怒られずに済んで体育の授業を受けた。
『中島は体操服忘れたのか〜?まあそれ着てるから許してやるけど』
拡声器を使ってそう言われていたけど。
すごく申し訳なかった。
本当にごめんね?
ちゃんと洗って返さなきゃ。
そして、私だけにしてきたVサインも忘れないよ。
口パクで
『大丈夫』
って言いながら。
だから、意地悪ばっかされても嫌いだって思えない。
ちゃんと優しいところがあるんだもん。

