「俺が誰か気付いたら……って、中島くんじゃんか」



むすっとすねたように呟くとちょうど朝練を終えた中島くんが教室へ入ってきた。


……普通。



顔だって身長だって髪型だって。
何も変わらないいつも通りの中島くんじゃん。


もう何よ。


どう見たって中島くんだよ。



「郁の天然、早く治ること願ってるよ」



ポンポンと肩を叩いて陽菜ちゃんは自分の席へと向かって行った。


陽菜ちゃんはきっとわかってるんだ。


中島くんが言った言葉の意味も、中島くんが誰なのかも。


でも教えてくれないのは陽菜ちゃんの優しさなのかもしれないね。


ちゃんと自分で考えろ!って言われてるみたい。






いつも陽菜ちゃんに助けてもらってばっかりだもんね…。


私には中島くんがいない日常ってため息ばっかりだなあ。


HRが始まっても私は綺麗な青色の空をぼーっと眺める。
席は窓側だからしっかり見える。