私から一歩離れて、制服を整えだす。
コホン、とわざとらしく咳をした。
な、な、何だろ?
「郁、俺も好き。俺と付き合って」
ふにゃっと笑った。
私にしか見せない顔。
久しぶりに見た私の大好きな笑顔だ。
「う……」
キーンコーンカーンコーン
私の返事をかき消すかのようにチャイムが鳴った。
5時間目が始まる合図。
遅刻確定だ。
2人で顔をしばらく見合わせる。
きっと2人ともマヌケな顔だ。
はははっと笑い出したのは大和くん。
するとそのまま教室にあるイスに座って、自分が座ったイスの前のイスの方向をクルッ180°と変える。

