「だから何もないってば〜」



「うそだー!ね〜何した?」



セミよりもうるさい気がするよ、陽菜ちゃん。


朝、学校に着くなり陽菜ちゃんの質問攻めにつかまってしまった。


もちろん、中島くんとのこと。


何した?って言われても、動物園に行っただけだし…。


そんなにテンション上がる意味がわからないよ。



「でもね…やっぱり不思議だった」



「不思議?」



急に落ち着いた陽菜ちゃんは私の前の席に座る。


よーく考えてみると、ううん、みなくても中島くんは不思議な人。



「私のこと郁ちゃんって呼んだり、自分がやまとくんだったりとか、いい加減気づけとか…。変なことばっかり言うの」



『郁ちゃん』



『ソイツ、俺だったりしてな』



『いい加減気づけよ、バーカ』



意味がわからないことばっかたくさん言ってた。



「やまとくんって…あの幼稚園の時の?」



陽菜ちゃんには、やまとくんの話をたくさんしてるから知ってる。


中学からずっと話してきたもんね。



「うん。苗字が違うんだからそんなわけないのにね〜……って、陽菜ちゃん?」



陽菜ちゃんを見ると目を丸くして私を見ていた。


ど、どうしたのっ?



「郁……あんた、バカ?」



ば………!

陽菜ちゃんにまでバカって言われた!



「なんでっ!」



中島くんに言われるのは日常茶飯事だけど陽菜ちゃんに言われるなんて!