しばらく、手袋をした手をこすって待っていると
「郁ちゃんっ!」
私を呼ぶ声がした。
顔を上げると大和くんが鼻を赤くしながら走ってくる。
「ゆっくりでいいって言ったのに…」
走ってる大和くんにはきっと聞こえてないけどね。
「ごめん……。部活長引いて…連絡もできなくて……」
「もういいよ。全然気にしてない、謝んないで?」
余裕がない大和くんは初めてだ。
息を切らしながら「ごめん」と繰り返す。
「ははっ。もう、謝りすぎだよ〜。仕方ないんだってば」
部活が長引いたのは仕方ないことだから。
そんなことで怒ったりしないよ。
こうやって走って来てくれたんかだから。
「うん。行くか」

