―8時― 「・・・こないねェ」 「ね・・・。」 「だな・・・。」 「うん。」 蒸し暑さが残る夜。 蚊がよってくるような場所で犯人を待ちかまえていた。 「しっ!」 泰樹の声で、みんながピッと姿勢を正した。 (・・・だれか来た?) (おう、でも誰かはわからないな・・・) (知冬、見えるかも・・) (おまえ、視力2.0だっけ?) (うん) ガサガサと木の陰から怪しい人影を探る。 「・・・あれって・・・」 知冬は誰かわかったみたい。 「・・・・・・・み・・ず・・の、さん?」