【圭side】


『私ひとりで、頑張るから』










凛とした声が、耳に響いた。










「ちょっ…日向!?おいっ!」










…いくら呼びかけても、返ってくるのは機械音。










「おい、美和…お前、わざと大きい声で言ったろ」










大崎美和。










中学から一緒の、クラスメイトの女だ。











「え〜?何のことぉ?」










首をかしげて、知らない素振りをするそいつ。










「おい美和…!」









“いい加減にしろ”と言おうとした時。











温かいものが、唇に触れた。











「あ、ごっめーん圭!ついついしちゃった!」










「お前…マジでふざけんなよ」









低い声で言ったが、その女は気にもかけていない。