「感謝してますよ。
あなたが18歳まで会わないと
決めたことだって、
今なら理解できますし、
感謝すらしてます。

俺たち姉弟があなたの夢を潰さなくて
本当によかったです。」

母は俺のイメージより
ずっと小さい人だった。

母の暗い姿を覚えてない。


それを見せないことが、
どれほどつらいか今なら分かる。


会う度に別れを繰り返され、
泣かれでもしたら、
俺はもっと
母親がいないことを
ただの悪いこととして
捉えていただろう。

強がり半分だが、
中途半端に会いに来られるより、
こうして、守るべき人が出来、
自立を考えてから、
会いに来てくれたのは、
ありがたいとしか言いようがない。

あくまで、
俺の場合なのだが。

「可愛くないの。
恨まれるくらいがちょうどよかったのに。」

母は諦めて、珈琲を飲んだ。