「お兄ちゃんも寂しいの?」

その子は、俺の分まで
泣いているようだった。

それくらい激しく泣かれ、
俺はなんだかおかしくて笑った。

可愛いな。

彼女は、
顔を俺の胸から剥がし、
顔をあげた。

「チカのご飯美味しかった?」
そっかチカって言うんだな。
チカは、
俺の涙を手で拭った。
自分のほうが泣いてるのに。

「美味しかったよ。毎日食べたいくらい。」

俺は、チカの頭を撫で、
お返しに、
涙を拭ってやった。

「お兄ちゃん、チカのこと好き?」

チカは綺麗な目をして
そう言った。

まるで、怯えたように聞くんだな。

あぁ、店長。
俺、たった13年しか生きてないけど、
分かったよ。

この子だと思う。

全然他の子と違う。


ネオン街の中で
パジャマ姿でぬいぐるみを抱きしめていた女の子。

最初から、全部違っていた。





「チカが好きだよ。
だから、いつか、
俺のお嫁さんになって。」


俺は、目を閉じて、
チカのおでこに、
自分のおでこを当てた。