店長の引越しを手伝うと、
何故か姉が飛んで帰ってきた。

俺を心配しているとは、
到底思えない。

家に入るなり、
店長と自分が住んでいた部屋を見渡し、
奇声を発した。

「宗次郎さんは、どこのマンションへ?」

俺は怖くなり、
店長のマンションを教えてしまった。


その次の日の朝、
黒いジャージに身を包んだ姉が
玄関に立っていて、
その手には真新しい鍵と、
トランシーバーみたいな黒い箱型の
機械が握られていた。


子どもながらに、
この人は犯罪を犯している!と
確信した。