俳優と、恋愛と。





雷の音も遠ざかってきたようだ。
心なしか、雨もさっきより弱くなった気がする。



俺は篠の耳に当てていた手を頭に置いた。
そして俺と目を合わさせる。
まぁ俺は分厚いメガネをかけているせいで、篠に瞳なんて見えないんだけど。





「不安そうな顔すんな。
俺がちゃんと下まで連れてってやるから。
バカとか文句なら後でなんでも聞いてやるから、俺を信じて?」





こんなくさい台詞、ドラマでもなかなかない。
でもこれは本心だった。
篠の不安な顔はあまり好きじゃない。





「瀬田のくせにかっこつけすぎ…」




……まぁ予想通り。
もう可愛げないとか思うのはやめよう。
切りが無い…。




「とりあえずどっちに進めばいいんだ…」




「……川に沿って歩けばいいよ。
川が流れている方向が下流だから、どこに出るかはわからないけど、少なからず森からは出られるはず……」




と、少しためらいがちに言う篠。
なるほど、それは思いつかなかった。




「すげーな篠!!やっぱお前天才だな!
この状況でよくそんな冷静に考えられるな!すげー!!」




素直に思った。
こんなに興奮するのも久しぶり。
なんかプチ探偵になった気分で楽しくなる。





「なっ………。っふふふ。あははははっ」





すると途端にお腹を抱えて笑い出す篠。