「川か……?」





水の流れる音がする。
ただの雨水かもしれないことを承知の上で音のする方に出てみると、川だった。




ここでいったん休憩しようか…。
篠の体もずっと熱を持っている。




「よいしょ」





篠をゆっくり大きな岩のそばに下ろす。
篠の背負っているリュックを下ろしてやり、自分のリュックも下ろす。




篠は軽かった。
一瞬、何か持病でもあるのではないかと疑った。
それに小さい。
山から落ちる際に抱きしめた時も、落石から庇った時も、おれが強く抱きしめれば壊れてしまいそうだった。




ドラマや映画の撮影で、女なんて抱きしめるのには慣れている。
でもこんなに小さいなと思ったのは初めてだった。





「ふぅ…。」





とりあえずおれも一服。
どのくらい歩いたかはわからないが、肩は痛むし、山から落ちた衝撃もまだ残る。




「せ………た…?」





「ん……起きたか」





篠が目を覚ます。





「私………寝てたの…?」





「熱があるんだから、無理するな」





「ごめん…」





起きたばかりで頭がちゃんと働いてないのか、篠はぼんやりしている。



そんな篠の靴を勝手に脱がして、川の水で濡らした俺のタオルを篠の足首に巻く。





「………なっ、何してるの!?」