自分のおぶっていたリュックを前にして、眠ってしまった篠を背負う。




俺って案外おせっかいだったのだろうか。
朝、篠を見かけた時から少し調子が悪いんだろうなってことはわかっていた。

男子の輪に溶け込めない俺はともかく、篠が1人で最後尾にいることが何よりだった。



山を登るにつれて顔色も悪くなって行くし、歩くスピードも落ちていた。





そんな篠が放っておけなくて、篠に合わせてすごく遅い速さで山を登った。





篠が足を滑らせて落ちた時は体が勝手に動いて篠の腕を掴んでいた。

山から落ちている時にとっさに篠をかばって抱きしめた。




俺は何をしているんだろうか。
前の俺は少なくとも、こんなんじゃなかった。
女子を助けるなんてもってのほか。



めんどくさいことが嫌いなのだから。





篠に言われた。
めんどくくさがりのくせに…と。
一番そう思っているのは自分だ。
自分が一番信じられない。




「………雨止まないかな……」





雨は一行に止まない。
雷もだんだん近づいてきているように感じる。

この様子じゃぁ、篠はきっと雷も苦手なんだろうなぁ…と勝手に思う。





それにしても相変わらず可愛げのない篠。