「篠っ……」
「えっ!?」
いきなりグイッと引かれる腕。
いきなり呼ばれた私の名前……瀬田…。
瀬田は片手を近くの木について、落ちないように支え、もう片方の手で私の腕を掴んでいる。
「なんで……」
何でつかんだのよ…。
このままじゃ道連れになる……
「はな……して…」
「黙れ………。
引き上げてやるから待て……」
周りの男子たちは先生を呼びに行くと言って去ってしまっていた。
軟弱そうな瀬田のどこに私を引き上げる力があると言うのだ…。
「瀬田まで…落ちちゃうから……」
「黙れっつってんの……」
瀬田は必死に引き上げようとしてくれる。
もう少し引っ張れば足がかけれそうだ…。
でも……。
ズルッ
「やべっ…」
瀬田の片足が湿った土によって滑った。
その瞬間、瀬田が木についていた手も滑る。
最悪だ…。
瀬田まで巻き込んでしまった…。
今、手を離せば、瀬田だけなら助かるかもしれない。
でも、いくら拒んでも力強く引く瀬田。
なんで…。

