「でも、瀬田のこと見直したかも。」
「へ?」
「確かにやる気ないし、めんどくさがりだし、悪いところはたくさん見つかるけど…。
瀬田はできない男でも、ダメな男でもないよ。」
篠さんが俺の目をまっすぐに見つめる。
似ている…。琴李京香に…。
逃げられない…この瞳に…。
吸い込まれてしまいそうな…真っ黒な瞳…。
「私は知ってるから。
瀬田が自分の芯ちゃんと持ってること。」
そうしてずしっとのしかかる、篠さんの拳。
篠さんが俺の胸を叩く。
「勉強ならなんでも聞いてね。答えられることは答えるから。
じゃぁ頑張ってね。」
そう言うと、そそくさと帰っていってしまう篠さん。
送るって言ったのに…。
でも周りは真っ暗で、やっぱり女子一人で帰るには暗すぎる…。
それにあれだけ、暗いところが嫌いな篠さん。
しゃぁないから追いかけよう…。
と、門まで走り、篠さんが曲がった方に向かって走るが、篠さんはもうどこにもいなかった。
「………変なやつ……」
可愛げがなくて素直じゃない彼女に、知らぬ間に惹かれていっているのだった。
だが、それに気づくのはまだまだ先の俺。

