俳優と、恋愛と。





後ろを振り向くと、目をきつくつぶって、涙を目尻に溜めた篠さんが俺のカッターシャツの裾をキュッと握っていた。



本当に素直じゃない…。
でもそんな姿を見て少し、守ってやりたいと思ってしまったのだ。


何考えてるんだ俺は…。

めんどくさい女は嫌いだ。
素直じゃない女なんて特に。
何を考えているかわかったものじゃない。



呆れた気持ちになって実験室の外まで行く。
廊下も真っ暗で、所々蛍光灯が灯っている。

ゴミをとりあえず捨ててこないと…。





「篠さん、俺、ゴミ捨てて来るからちょっと待ってて」




「え、私が行く……」





「俺一人でもてるから、ここにいろよ」




そう告げて俺は早足でたくさんのダンボールを持ってゴミ捨て場まで走る。





「ちょっと………」





篠さんの声がした気がしたが、捨てないと帰れないのでとりあえず無視。