樫月くんとは1年生の時も同じクラスで、男子の中では唯一話せる存在かもしれない。
樫月くんは誰にでも優しいから、みんなに人気だ。
「葵の上…ってやめてくれないかなぁ…」
「あはは。うまいと思うけどなぁ〜、葵の上。」
樫月くんはいつも葵の上と呼ぶ。
やめてと言ってもやめてくれないのだ。
「それより、今日のホームルームで文化祭のこと決めるらしいよ〜。
葵の上は何がしたい?」
去年は劇だったしなぁ……。
去年、無理やり劇の主役をやらされたことを思い出す。
でも正直、去年の文化祭には特にいい思い出がないけど…。
「ねぇ、葵の上…もしよかったら…今年の文化祭…俺と………」
「さぁー座れ〜。授業始めるぞ〜」
樫月君が私に話しかけてきたのと同時に、1時間目の授業、数学の先生が入ってくる。
「樫月くん、今なんて……」
「あ、また今度でいいや!
じゃぁね!」
「はぁ……」
そう言って席に戻っていってしまった。
樫月くんがなにを考えているのかわからなかった私に対し、美結はニヤニヤ私たちを見ているのだった。

