「なんでみんなに正体を教えようと思ったの?」
「ん?いやぁ…別に特に理由はない。
さっきも言ったけど、このまま嘘ついて出て行くのもなぁと思って…事務所にも頼んで…OKもらえたからさ。
まぁもう会うこともほとんどないだろうし。
それより俺の方が驚いた。
こんなんもらったのはじめて、同級生から」
いつの年になっても同級生とはどこか距離があった。
だから本当の友達なんて今までできたことがなかった。
高校で暮人に会うまでは。
花束にアルバム。あんまり喋ったことのない子もメッセージを書いてくれている。
そしてこれを率先してやってのけた葵。本当に俺が憧れるよ。
「俺は葵が羨ましいよ。
いつもみんなの中心にいる…」
「そんなことないよ…私はみんなにお願いしただけだし」
お願いしてみんなが協力してくれるっていうのはそれだけ葵が信頼されているからだ。
葵の性格がみんなを知らない間に引っ張っているんだ。
「まぁみんなの前で付き合ってることも公表したし?葵が告られたりすることもないだろう」
あぁやって見せつけておけば誰も手は出せまい。
「そんな理由でみんなの前でキスするなんて…いきなりすぎてびっくりしたんだから」
「ごめんって」
俺がクスッと笑うと、葵がほおをぷくっと膨らまして怒っているそぶりを見せる。そんな表情も可愛いと思う。