「本当に帰ってくると思わなかった…」





蓮に家まで送り届けてもらい、
家に入るなりお姉ちゃんの第一声がこれだ。





「どういうこと…?」





「いや……、連れて帰りますとは言われたけど…。
てっきりお持ち帰りの予定かと…」





お姉ちゃんがなんの話をしているかさっぱりわからないけど、私はすごくスッキリした気分だった。

また蓮と恋人同士に戻れたんだ…。





「映画も終わったことだし、蓮の普通科生活も終わりね…」





お姉ちゃんが疲れているのかぼやいているけれど、私には結構重要なことだった。
いつも後ろにいた蓮がいなくなるのか…。

蓮が私のクラスにいるのも残り一週間。



結局蓮は普通科でたくさんのことを学べたのかもしれないけど…。
変なあだ名つけられたり、パシられたり…あまりいい思い出はないよね…。


何かしてあげられないかなぁ…。




「葵、はいこれ」






「なにこれ…」





お姉ちゃんが差し出したのは2枚のチケット…。
これってもしかして…。





「愛の叫びの前売り券?」





「今度蓮といってきなさい。
私からのささやかなプレゼント〜。
まぁタダで私ももらっただけだけど」





最後の一言さえなければ素敵なお姉ちゃんの印象のままだったのに…。
と思いつつ、やっぱりお姉ちゃんはお姉ちゃんだ。


なんだかんだ言って私はお姉ちゃんがやっぱり好きだな。