俳優と、恋愛と。






「何感傷に浸ってるの?」





すっかり息の調子が戻ったのか、さっきよりも明るい声で、不思議そうに葵が俺の顔を覗き込む。





「いや、俺…普通科に通えてよかったなぁって…」





「……そっか」






パシられたり、あだ名をつけられたり、軽くいじめられたり?
初めての経験ばかり。
始めはこんなことして何の意味があるのかって思ったけど、全部が糧になってる…。

糧になって、そうして葵と出会えたんだ…。





「俺と出会ってくれてありがとう」





「ふふっ、なんか詩人みたい…」





素直じゃないというかなんというか…普通なら顔を赤めるところじゃないのか?

まぁ常識が通じないのが葵だけど。





「さ、桐花さんも心配してるし、帰ろうか」





「うん!」






そう言ってまた二人で勢い良く歩き出した。