会場の隅で、彼女は俺の言葉に泣いている。
あぁ、なんて可愛いんだろう。
今すぐ走って君を抱きしめたい。
しっかり話さなければならないのにそんなことばかり考えてしまう俺。
そんな中で葵が泣き崩れる。
そして、葵が会場を飛び出していった。
それと同時に、俺もそれを追いかけるように会場を飛び出したのだった。
***現在***
「いやぁ、飛び出して行った時は本当にびっくりしちゃった。
葵ちゃんが飛び出して行ったのにも驚いたけど」
「つい夢中で……もう自分が止められなかったんで…」
杉浦みずきに言われ頭をかきながら恥ずかしいと思いつつ答える。
「あの後の報道陣も大変だったんだから。
追いかけていこうとする人までいるし。」
「まぁなんとかあの場はおさまったけどね」
「すみません…」
俺は飛び出して行ってしまった後のことは全く知らない。
確かにあの状況では報道陣が誰か追ってきててもおかしくなかったよな。
「京香さんがね、会見を続けます!!って大声で言ってあの場は治まったの。
さすがの監督、琴李京香様だよね!」
これは嬉しそうに言う杉浦みずきに同意だ。
本当に、琴李京香は若手にしてすごい監督だと思う。

