「なんで葵のピンチを助けるのは毎回暮人なんだよ…」
そう嘆く蓮。
蓮の胸に背中から抱き寄せられているせいで蓮の顔は見えない。
「蓮は意外と独占欲が強いんだね〜。
そんなにがっちりガードしなくたって大丈夫だよ」
「お前は何考えてるかわからないからな」
「挨拶まだ終わってないんだろ?
さっさと戻りなよ。蓮はいつも遅いんだよ」
「うるせー。
まぁでも今日だけは葵のこと頼む。
また絡まれたら面倒だからな。
葵、暮人といろよ?変なことされたら言え」
そう言って私の頭を撫でて人の輪に戻ってしまった蓮。
「蓮も途中から葵ちゃんが事務所の奴らに絡まれて困ってたのを知ってたんだよ。
ただ話し中で抜けられなくてね」
挨拶だって一種のお仕事なのに、私のことを気にしてくれてたんだ…。
「ということで、葵ちゃん、俺と回りましょうか」
「はい、お願いします」
私にはもう完全に田井暮人への警戒心はなくなっていた。

