「書き方……わからないでしょ?」
「だからって…篠さんに任せてたら俺、いつまでたってもできないし。
だから見てていいっすか…?」
「……」
正直驚いた…。
なんだ、ただのダメ男じゃないんじゃん。
やる気はちゃんとあるんじゃん。
「そういうことなら…」
もともと私は男子が苦手。
気楽に話せるのも数人。
だから2人の間に沈黙が流れるけど…気にしない。
瀬田祐樹も元からそんな人だしね。
「…………あの」
「え?」
今日の出来事の欄に差し掛かったところで、瀬田祐樹に話しかけられる。
「…葵の上とか…大殿様って……何?」
……………。
葵の上=大殿
これは古典の常識。
葵の上は、源氏物語に出てくる、主人公、光源氏の正妻だ。
高校に入ってから古典の授業で初めて出てきた葵の上。
それと私の名前の葵を重ねて、誰かが葵の上と私のことを呼びはじめた。
大殿っていうのは位のことなのかな?
よくわからないけど、葵の上の別名だ。
誰が言い始めたかわからない私の呼び名が知れ渡って、みんなにそう呼ばれるようになった。

