基本無口な藤堂静香マネージャーと車に揺られ、事務所に到着した。
マネージャーに案内されたのは小さな会議室。
「なんでこんなとこで……」
いつもはもっと小さい個室とか家とかなのになんで会議室……。
「これよ、台本」
いきなり渡された分厚い台本。
また映画かよ……。
「”愛の叫び”
最近、優秀賞をとった小説よ。
それを映画化するって話が出てて、原作者の方が是非、及川蓮にって。」
「へー……」
渡されたのは小説と台本。
台本を見るとまぁ題名だけあって恋愛シーンも数ある。
「で、問題はここからなんだけど…。」
「問題?」
滅多に顔色を変えないマネージャーが少し不安げな顔をする。
「監督さんが…あの有名な、琴李京香さんなの。」
琴李京香(ことり きょうか)は、最年少の日本を代表する映画監督。
20代という若さで、多くの有名映画を手がけて来た。

