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走って走って行き着いた先は、船の甲板だった。知らない間に船は結構進んでいたようで、空は暗く、岸はもう見えていなかった。




甲板にさす明るいライトだけが私を照らしている。

お客さんたちも会場の方に夢中で、甲板には誰もいなかった。






「…………嬉しいだなんて……無責任だよね…」





蓮の言葉、一言一言が胸に突き刺さった。
出会ったときからそうだった。
瀬田であった時の蓮も…まっすぐで……純粋だった……。





蓮の言葉は全部私に突き刺さる……。
私が励まされているようだった…。






私はこれから……どうすればいいの…。






「つかまえた…」






甘い言葉が耳に響いて、手すりに体を預けていた私を後ろから包み込む。



知っている…この暖かさ……この心地いい声……知ってる……。