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及川蓮が愛しい彼女に愛を叫んだ瞬間、会場の空気が一気に及川蓮一色になった。
報道陣に有無も言わさず、自分の意見を述べただけで、その場を収集してみせた。

そんな状況を琴李京香は楽しそうに見ていた。





目線の先には可愛い自分の妹がいる。
最初から最後まで及川蓮の言葉を一言一句聞きま漏らさず聞いていた。

そんな妹が微笑ましかった。




そんな妹が泣いている。
涙を流し今にも崩れ落ちてしまいそうだ。


昔はあんな風に人前で泣いたりする子じゃなかったのに。
誰があんな風に変えてしまったんだろう。


考えるまでもなかった。





そして次の瞬間、可愛い妹は会場を勢いよく飛び出していった。
かなり目立っていたが、報道陣を含む、会場中が驚いたのはこの次だ。

及川蓮は舞台から飛び降りて、会見を放って、愛しい彼女を追いかけて行ってしまった。





報道陣がざわめき、質問を投げかける中、監督キャスト含む関係者は、一言もものを申さなかった。