「私に初めて恋愛を教えてくれたのです。
彼女なくしてこの映画は完成しませんでした。

私は初めて恋をしました。
彼女に恋をして、彼女と付き合い、彼女を愛した。

この映画を通して、私は成長することができた。」





蓮は話していく。胸を張って、何にも怯えることなく。誰もが目を惹かれている。





「私はこの映画で最高の演技ができた。
でもこの映画を通して彼女とは離れてしまった。

しかし私は誓った。
この映画を何としても完成させて、彼女にもう一度振り向いてもらう。振り向かせると。


ここに、私、及川蓮は、彼女に愛を叫びます」




自惚れてもいいのかな……。
蓮が話してくれているのは……私のことだと思ってもいいですか?

胸が痛い。
私はこんなにも私のことを思ってくれている人を…自分から手放したなんて…。


蓮のためだなんて…嘘だよ。私は怖かっただけ。
臆病でごめんなさい。




涙が止まらない。
泣き崩れて、座り込んでしまいそうで、思わず会場を飛び出す。
そんな私が注目されていることも、その後の蓮の行動で、今日一番のシャッター音が鳴り響いていたことも、私は知らなかった。